過疎市町村が占める面積比率89.7%。
日本で最も深刻な過疎地域、秋田。
「ウチの会社は業務内容が特殊だから、システムやインターネットと言われても実際無理なんですよ。」
経営陣の依頼で現場へ赴くと、殆どの企業様でこのセリフを耳にしたものでした。
しかしロジックに起こしてみると、特殊なところなど何も無かったり、その「特殊」と思い込んでる部分こそが非効率な要改善箇所であったり。
時代が変わり、さすがに首都圏では滅多に無くなりましたが、地方においてはまた異なる問題があります。
販促であれコスト削減であれ、物やサービスの流れをより効率的に制御するのがSIerの仕事ですが、そもそも物が流れていないのです。
距離と時間軸を超えられるネットワークを用いてその出口を求めようにも、過疎経済の中で体力を削ぎ取られた地方企業に、販促競争に割って入るだけの資本力は残されていません。
そこで求められるのは需要の創出です。
既にある需要に供給競争で参入するのでは無く、荒地を耕すところから始め、自分の畑としてコツコツと耕して行くのです。
この手法が机上の空論で無いことの証明に、我々はスソアゲ・ドット・ネットの運営を開始しました。
インターネットで裾上げを依頼する。
かつては存在せず、大衆の中にも未だ浸透していない感覚ですが、我々はこの畑を耕せると確信しています。
過疎による経済停滞を逆手に取り、コストの差額分で首都圏相場価格に送料無料を内包、実店舗が営業している時間帯には働いていて、貴重な休日を裾上げの為に費やしていられない層を主力ターゲットとします。
母体となる縫製事業は1967年創業で充分な経験と技術力を持ち、イオン様施設内にも2つの実店舗を有しますが、過疎進行により減少し続ける進学・就職のシーズン売上に頭を悩ませていました。
我々は立て直しのファーストステップとして、周辺企業が経費削減を推進する中にもあえて設備の増強と人員強化を実施、以前の体制では顧客ニーズに応えきれなかったTシャツやデニム類の加工メニューを充実、これまで顧客層となっていなかった若年層を取り込み、同時にレザージャケットやバッグ類などの、難易度が高いものの顧客ニーズも強いメニューも積極的に取り組む事で、季節売上と平時売上のバランスを大きく変えることに成功、増強された生産力を更に活かすべく、ネットサービス進出を決定しました。
最低賃金の定めにボタン付けひとつの工賃まで規定される縫製業。
技術依存業種であるため職人気質が強く、IT革命に至る以前に多くの工場が淘汰され、中国・東南アジアにその職を奪われた業界です。とりわけ過疎・自殺・離婚率のワースト三冠に君臨してしまっている秋田におけるそのコストは、中国農村部とまではいかなくとも中国都市部とであれば充分な競争力を持つに至っています。
どのような古い業態であっても情報化社会に適合したなんらかの在り様、ソリューションが存在します。
私達の仕事は、そこに至るコロンブスの卵を提案することなのです。